化学療法グループの主な診療
消化器内科 化学療法グループでは、食道・胃・小腸・大腸・肝臓・胆道・膵臓といった多様な臓器に発生する消化器がんを対象に、主に進行がんに対する化学療法(がん薬物療法)を行っています。日本では毎年約100万人が新たにがんと診断され、そのうち4割を消化器がんが占めています。治癒可能な早期がんもある一方で、治療に大きな負担を伴う進行がんの段階で見つかることも少なくありません。
私たちは、患者さん一人ひとりの治療の経過や生活の変化に寄り添い、「ペイシェントジャーニー(患者さんの治療に至るまでの過程と、その後の人生)」を深く理解することを大切にしています。がんの治療は単なる病気の制御ではなく、患者さんの人生そのものを支える営みであると考えています。
化学療法は、がんの進行を抑え、症状を和らげ、生活の質(QOL)を保つことを目的としています。近年は、分子標的治療薬や免疫チェックポイント阻害薬など、がんの個別性に応じた治療が進化しており、当科では最新の科学的根拠に基づいた最適な治療を提供しています。必要に応じて、がんゲノムプロファイリング検査なども取り入れ、個別化医療の実現を目指しています。
また、治療そのものだけでなく、患者さんとご家族を包括的に支える「チーム医療」も当科の大きな特徴です。がん看護専門看護師、薬剤師、栄養士、緩和ケアチーム、医療ソーシャルワーカーなど多職種と連携し、体調管理や副作用対策、社会生活との両立まで、さまざまな側面を支援しています。
進行がんと向き合うことは、患者さんにとって大きな挑戦です。私たちはその道のりに寄り添い、常にそばにいて共に進んでいく存在でありたいと願っています。すべての患者さんが、治療と日常生活を両立させながら、少しでも前向きな気持ちで日々を過ごせるよう、丁寧で温かい医療の提供を心がけています。
主な臨床研究
化学療法グループには、日本臨床腫瘍学会の「がん薬物療法専門医」という専門資格を持つ医師が3名在籍しております。化学療法の専門家として矜持と責任を持ってそれぞれの患者さんに最適な医療をご提案・ご提供致します。
化学療法の分野では新しい治療の開発・確立がたいへん重要で、自施設のみならず日本全国の多くの施設と連携して研究をおこなっています。
代表的な研究の1つとして、私たちは日本を代表するがん治療の研究グループであるJCOG(ジェイコグ:日本臨床腫瘍研究グループ)の一員としても活動し、がんに対する「より優れた治療法」の開発に貢献しています。
貢献した主な研究をご紹介します。
- JCOG1611試験:遠隔転移を伴う膵癌の推奨治療を確立することができた研究
- JCOG1901試験:切除不能な消化管・膵の神経内分泌腫瘍に対する標準治療の1つを確立することができた研究
また、現在は試験の結果を待っている段階ですが、局所進行膵癌に対し免疫チェックポイント阻害薬の上乗せ効果を検証するJCOG1908E試験という研究にも参加しています(参加募集は終了しています)。
そのほかにも複数の臨床試験に参加しております。
また、JCOGのほかにも複数の施設と連携して研究をおこなっており、さらなる発展に貢献して参ります。